キャッシュフローとは

20ユーロ札

会社を立ち上げていくうえでは、必ずといっていいほどお金に対する知識が必要となります。
しかし、これまでアルバイトなどの雇ってもらう経験しかしてこなかった方にとっては、これまで聞いたことが無かったような知識や情報ばかりで、今更周りに質問することが恥ずかしいといったケースも多いのではないでしょうか。
しかし、運営を行っていくうえでお金の管理は絶対に手を抜くことは出来ません。
企業や会社を立ち上げ、活動をしていくなかで、キャッシュフローと呼ばれるものはどのような意味を持ち、何を指しているのでしょうか。

そもそもキャッシュフローの“キャッシュ”とは、普通預金、当座預金、現金などのお金のことを指し、キャッシュフローの“フロー”にはそれらの流れという意味が込められています。
会社を立ち上げ、事業活動を行う際には必ずと言っていいほどお金の出入りがあります。
例えば、何か商品を仕入れることになれば仕入れをする為のお金が必要となり、そこで仕入れた商品を売ることによって、また会社にお金が入ってくることになります。
また、会社によってはオフィスの家賃代や利用するにあたっての光熱費や雑費、従業員に対する給与の支払いが必要となるでしょう。
会社を運営をしていくなかで、会社にお金が入ってくることを“キャッシュイン”と呼び、会社からお金が出ていくことを“キャッシュアウト”と呼び、キャッシュインしたお金からキャッシュフローしたお金を差し引き、残ったお金がキャッシュフローとなります。
なので、キャッシュフローとは会社を運営していくにあたってのお金の出入りを表す言葉として使用されているということです。

会社の利益というものは、商品の売り上げ金からその運営に関わる様々な費用を差し引いて計算します。
その場で直接商品の取り引きが行われる飲食店や雑貨屋などの小売店は現金での商売で成り立ちますが、企業と企業の間で行われる取り引きというものは、多くの場合、現金での直接的な取り引きではなく、商品やサービスを提供した後に売り上げ代金が手元にくるまで時間が掛かるので商品を納品した後に取り引き先に向けて請求書を発行し、翌月に売り上げ代金としてお金を頂くこととなります。

この場合、商品の仕入れ代金を事前に支払っている場合は、利益として黒字ということになりますが、キャッシュフローとして計算すると、商品の仕入れにかかるお金の支払いのみを済ませて、売り上げ金を頂いていないとうことで、マイナスの計算となってしまいます。
会社を運営していくにあたって、会計をしたうえで算出される利益と、キャッシュフローで算出される利益というものは、絶対に一致するものではないということです。

また、仕入れにかかるお金を支払い終え、その商品を販売する為のお金を頂くまでに時間が掛かってしまった場合、商品を売り上げ、多くの利益が出ていたとしてもキャッシュフローではマイナスの計算となることもあります。

その他にも、多くの商品を仕入れ、そのなかから少ししか売り上げが出なかった場合、全体的な利益は上がっていたとしても、キャッシュフローはマイナスということになるのです。

キャッシュフローの計算方法

計算機と通帳とお金

キャッシュフローを計算するためのキャッシュフロー計算書というものが存在しますが、実践経験がない限り、あまりよく理解出来ないという方も多くいるようです。
キャッシュフローとは、お金の流れを表すものですが、その流れというもの自体にあまりピンとこない方がいるのも当然でしょう。
そこで、キャッシュフロー計算書があまり理解出来ないという初心者の方に向けて、キャッシュフロー計算書がどのようなものであるか解説をしていきます。

キャッシュフロー計算書とは

キャッシュフロー計算書と呼ばれるものは、一般的に会社でよく使用されるバランスシートというものに表示された“お金”を表す項目を更に分析し、計算したものを指します。
バランスシートというものは、会社の運営に関わるお金を表す断面図のようなものを指します。
会社がいくら借金をして、集めたお金によってどのような資産を作ったのかを分かりやすくまとめた表と言えるでしょう。

バランスシートが表す資産とは、会社が銀行などからお金を借り入れることによって手に入れたお金と既に手に入れている資産や利益といった純資産を足したもののことです。
そして、そのお金の質を表す為に用いられるのが、キャッシュフロー計算書と呼ばれます。
キャッシュフロー計算書というものは、このバランスシート上に記載されたお金の部分のみに特化しているので、利益を表す為の役割は果たしません。
例え、会社がどんなに利益を出していたとしても、お金が無ければ運営をしていくことが難しくなります。

利益の計算を担う損益計算書とは別に、会社が持っている現金の量を把握する為に用いられているものをキャッシュフロー計算書と言います。
お金の計算に慣れないうちは、利益が増えることにより手に入るお金も増えるという風に思われがちですが、商品を売り上げたことにより手に入る利益と手元に残る資本は実際のところは、関係がないのです。

資本は増えているのにも関わらず、現金がなくなってしまうということも珍しいケースではなく、会社を運営していくにあたって初心者の人が陥りやすい罠のひとつとなっているようです。
会社にとって、利益を増やしていくことは最も重大な役目ですが、利益を重視していく一方で手元にお金がなくてはなりません。
なので、会社をやっていくなかで利益とは別にお金の量とその質を会社は把握しておかなければならないのです。
キャッシュフロー計算書は会社のお金に関する情報を表したものと言えるでしょう。

キャッシュフロー計算書の必要性

それでは、キャッシュフロー計算書にはどのような必要性があるのでしょうか。

お金が出入りしていく量を確認するのみならば、お金の貸し借りや収入、支出を表すバランスシートと呼ばれるものを確認しておけば問題ないと思われがちですが、キャッシュフロー計算書とは、お金の量のみを表すものではなく、運営に関わらるお金の質も同時に計算する役割があります。
お金の量が多いのか少ないのかということだけでなく、そのお金自体がどのようにして使用されて、集められているのかをキャッシュフロー計算書によって表すことが可能となります。
お金が増えているということは、商品の売り上げによる効果なのか、借金をすることによって増えたお金なのか、または資産を売却した効果なのかによって、同じお金でもそのお金自体の質は大きく変わります。

そして、現金が減っている場合であっても、商品の売り上げが減少したことによってお金が減っているのか、借金を返済する為に出ていくお金が増えてしまったのか、なにか他の商品に対する仕入れ金として利用されたのかによって、良いお金の減り方であるのかどうかを確認する為にキャッシュフロー計算書があるといっても良いでしょう。
キャッシュフロー計算書には、お金が増減していく流れのみでなく、そのお金がどのような用途によって増えたり減ったりしたのかを解読する役割があります。
例え、利益があったとしてもお金がなければ改善しなければならないことがありますし、お金があったとしても循環しない悪いお金であれば、今後注意していかなければなりません。
キャッシュフロー計算書を使用する以前に、キャッシュフロー計算書の役割や計算書によって表示されているものがどのような意味を持っているのか理解して使用する為にも、キャッシュフロー計算書の必要性を把握しておく必要があるでしょう。

キャッシュフローの種類

ミーティング

キャッシュフローには様々な種類が存在し、それぞれの役割りがあります。
自身の会社のキャッシュフローを把握しておく為に必要な知識であることはもちろん、これから投資活動をしていこうと考えている方にとっても、他の会社のキャッシュフローを見極めていかなければなりません。
キャッシュフロー計算書を作成していくにあたっても、まずはどのような種類のキャッシュフローが存在しているのか紹介していきます。

営業キャッシュフロー

営業キャッシュフローとは、その会社がサービスの提供を行ったり、商品を販売することによって手に入れたお金を表します。
キャッシュフロー計算書を用いて表示される、営業キャッシュフローという項目は、その会社が年間を通してどれだけの収入を獲得したかを表しているのです。
営業キャッシュフローで表わされる金額に注意することによって、その会社の売り上げを読み取ることが可能となる為、これから先、投資活動を考えている方にとっても、営業キャッシュフローに注目することは投資先を見極める重要なポイントとも言えるでしょう。

投資キャッシュフロー

投資キャッシュフローとは、主に会社がこれからの未来の為に使ったお金を表す為に用いられます。
例えば、会社が自社工場をを建設する為の土地を購入することで固定資産を手に入れたり、新しい設備を購入したり、株を購入するなどといった投資活動を行う際のお金の出入りを表します。
基本的に投資キャッシュフローはマイナスであることが良いとされているようです。
何故ならば、会社が所有する土地や建物などの資産を売ってしまうことによって、投資キャッシュフローではプラスとなったとしても、今後の利益には繋がりにくい為、会社を運営していくうえではあまり良いようには捉えられないからです。
投資キャッシュフローを用いることによって、会社の未来が予想しやすくなるといっても良いでしょう。

財務キャッシュフロー

財務キャッシュフローとは、その会社がどれだけのお金を借り入れ、返済したのかを表す為に用いられています。
お金を借りることによって、お金が増えるので、財務キャッシュフローとしてはプラスとなり、お金を返すことで、会社からはお金が出て行くこととなるので、マイナスとなります。
一般的には、マイナスであるほうが財務キャッシュフローとしては健全と言えるでしょう。
しかし、場合によっては、その会社自体の規模を大きくしていく為に多額のお金を借り入れるなどの戦略も考えられるので、投資の対象としてはプラスとなる期待が出来るでしょう。

その他にも、フリーキャッシュフローと呼ばれるものがあり、その会社が商品を販売するなどの営業によって獲得したお金から、投資の為に回したキャッシュフローを差し引いて表されるお金が存在します。
フリーキャッシュフローとは、会社が営業活動をしていったうえで獲得したお金から自由に使えるお金を表す為に用いられています。
このような会社は、金融機関などからお金を借り入れることなく、自立した運営をしていく能力があるという見方が出来るので、会社を運営していくにあたっては、フローキャッシュフローをプラスにしていく努力が必要とされるでしょう。